竹刀の手入れ方法
剣道では竹刀という道具を使うため、危険と思われがちですが、竹刀を振るときに周りに気を配ることと、ささくれや割れのある竹刀を使わないことの2点を守りさえすれば重大事故は起こりにくく、武道の中では安全の確保がしやすいと言えます。
竹刀は使ったあとに必ずチェックし、ささ くれがあったらそれを除去するようにしてください。また、長く使っていると割れが発生することもあります。そうなったら割竹を交換するか、新しいものに替えましょう。
このページでは、普段の竹刀の手入れの手順を、順を追って説明します。小さいお子さんには難しい部分もありますので、まずはご父兄が覚えて、子供たちが自分で手入れできるように丁寧に指導してあげてくださ い。
それほど難しいわけではなく、ささくれを取り除く程度のものであれば、小学2年生くらいから自分で行うことは可能ですので、よく見ながら作業 を進めてみてください。
1. | まず手入れの前に、以下のものを用意してください。 ●竹刀削り(ナイフでも可) ●木工やすり ●サンドペーパー(#240番くらい) ●竹刀油(椿油、くるみ油でもOK) ●やっとこ(あると便利) |
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2. | やっとこを使って、弦(つる)をほどいていきます。指で引っ張って取ることもできますが、結び目を取るのには、やっとこがあると便利です。 | |
3. | つるの結び目がゆるんだら、指で終端の巻きをほどいていきます。 | |
4. | 次に、つるの折り返し部を緩めます。(この折り返し部に付いている革のことを、「調整革」と言います。) | |
5. | 中結を取ります。 | |
6. | 先革を取ります。先端には「先ゴム」と言われる、ゴムかプラスチックの部品が入っていますので、なくさないようにとっておきます。 | |
7. | それぞれの割竹を調べていきます。 この竹刀をよく調べていくと、竹が割れていました。こういった状態になったら、絶対に使ってはいけません。 他の使えなくなった竹刀から取っておいた割竹に交換します。 (割竹の割れがない場合には、No.12の手順まで読み飛ばしてください。) |
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8. | 柄(つか)を取っていきます。 柄を取るのは結構大変で、なかなか取れない場合があります。そういったときは、手のひら側にいぼいぼが付いた軍手を手にはめて、引っ張っていきます。(そうしないと、てのひらの皮がむけますのでご注意!)それでも取れない場合は、柄を水で濡らし、革が伸びやすくして、外します。 |
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9. |
割竹の根元には、他の割竹とずれないようにするための「契り(ちぎり)」という四角い金属板が入っています。割竹を取り外すと、写真のように契りと合わせるための溝が入っています。 |
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10. | 他の竹刀から取り外して取っておいた割竹にも溝は入っていますが、この溝の位置はまちまちですので、組み込む竹刀の契りの位置に合わせてのこぎりなどで新たに溝を作り、4本の割竹を合わせます。 | |
11. | 割竹の高さが揃っていることを確認し、再び柄をはめます。柄頭に隙間がないよう、しっかりと伸ばしてはめてください。 このときも、いぼの付いた軍手を使った方が、楽に作業を行うことができます。 |
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12. | 続いて割竹のささくれの除去に移ります。ささくれの除去は、まず竹刀削りやナイフを使って粗く取り除きます。 このときのナイフの使い方ですが、削る面に垂直に立てるようにして、あまり力を入れずに削っていってください。(写真では下になにも敷いていませんが、たくさん竹のかすがでますので、新聞紙を敷くか、ゴミ箱の上で行ってください。) |
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13. | 凹凸が付いたり、面がきれいに取れない場合には、木工やすりを使ってならしていきます。 |
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14. | 仕上げに、サンドペーパー(紙やすり)の240番くらいのもので仕上げます。指で軽く触ってみて、ひっかかりがないようにしてください。 (あまり強い力で触ると、ささくれが残っていて刺さることがあります。とても痛い思いをしますので、注意してください!) |
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15. | ささくれの除去が終わったら、竹刀油(椿油やくるみ油でも可)を塗ります。特に節のところからしみこませていき、布で余分な油を取ります。油が竹の乾燥を防ぎ、割れにくくします。 竹刀油の代わりに、蝋(ろう)を塗ることもあります。蝋は軽く薄く、割竹の合わさる面に沿って塗るようにします。蝋はささくれの防止には効果的ですが、乾燥防止の効果はありません。 |
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16. | 先ゴムを付け、先革をはめていきます。そしてつるを、柄のつるをひっかける革紐部分、折り返し部分の調整革の間を通して、再び柄の方に強く引っ張ります。 | |
17. | 強くひっぱりながら、つるを柄の横紐の部分に通します。結び目を作るときのように、つるを輪の中に通していくと、緩みにくくなります。 |
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18. | 柄から伸びた革紐部分に、つるを巻いていきます。ただぐるぐる巻くのではなく、しっかりと緩みや隙間なく、巻いていくようにしてください。 |
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19. | つるが残り少なくなったら、柄の革紐の間を通します。革紐の間に、やっとこなどを先に通しておき、つるを通すとやりやすいと思います。 |
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20. | 19のままでも構いませんが、より確実に緩まないようにするために、つるの縦紐につるの終端部を結びつけていきます。 | |
21. | 最後に中結を結びます。 剣先から竹刀全体の長さの4分の1の位置に、中結の革紐を、剣先方向に向けて3回ほどきつく巻き付けます(ゆるいのはだめですよ!)。つるの下を通して、革紐の間から、写真のように出してきます。 |
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22. | 次に、中結の紐を柄の方向に引っ張り、つるの右側からつるの下を通して折り返し、中結の紐の間に入れていきます。 | |
23. | 同じ要領であと2回繰り返します。 これで竹刀の手入れは完了です。 |